全国温泉 決死の生き残り大作戦  五頭温泉郷の魅力!





 

 

松田忠徳 教授 (まつだ・ただのり)

洞爺湖温泉に生まれる。
現在、旅行作家、翻訳家、札幌国際大学教授、観光学部(温泉文化論)。1998年1月から1999年9月まで、キャンピングカーで日本列島を2度縦断して、2500湯を制覇。
これまでに浸かった温泉は4,350湯あまり。
季刊「温泉主義」編集長。
松田忠徳WEBサイト
http://www.matsudanet.com

どこがいいのか?

村杉温泉・出湯温泉はともに、日本の温泉地の基本形がそろっている。

@源泉は古くから沸いているものである。
A源泉のすぐ隣に古くから共同浴場がある。すぐ隣にあるということは、温泉の劣化が少なく、温泉が生きたまま浴槽に入る。
Bお寺や薬師堂がある。

 ふるさとに帰ってきたような雰囲気が感じられる。出湯温泉の寺湯(華報寺の共同浴場)は特にいい。日本人の頭の中には、どういう温泉地が「癒される」雰囲気なのかがインプットされているので、ここに来ただけで、懐かしい気持ちになれる。これが、我々日本人に一番心地よい温泉地の基本だ。

 草津温泉のように18箇所の外湯と湯畑などと同じように「ホッ」とさせてくれる姿がある。五頭温泉郷の外湯も地元の人が使っているからこそ残ってきた。
 大学では、「温泉文化論」を教えているが、日本人にとっての「温泉」とは、裸になれば人間は誰も同じなので、ただじっと体を湯に浸していられるのが理想。温泉に入って、「心の湯浴み」をしているのだ。体を洗うのは、本来の目的ではなかったはず。

 1998年に列島縦断の温泉入浴をしたときに、なぜ来なかったのかが不思議なくらい素晴らしい所だ。これから大切なのは、どうやって今の人たちを惹きつけるかだろう。温泉街を形成する各旅館も、10室前後の客室数なので、これからは丁度よい規模。

 温泉街の雰囲気と比べると、表通りの案内看板は、普通のもので、大変残念。平凡な綺麗な物ではなく、田舎の景色に合うものにしてほしい。

ラヂウム温泉の上手な使い方

 今は、温泉がいいところだけがお客が増えている。温泉がいいから温泉に行く。なぜいい温泉に行くのか?温泉は、昔から病気を治す原点だった。だから残ってきた。それを考えると、村杉の共同浴場は残念ながらただの銭湯になってしまっている。
元気になれるラヂウム温泉を循環してしまっては、せっかくの貴重な温泉効果が減る。

 ラヂウム温泉はぬるいことをもっとアピールして、お湯を「飲む」「汲む」ようにしてもらう。ぜひ、飲泉所を作りましょう。90度の温泉は熱くて飲めないけれど、五頭はぬるいからこそおいしく飲めるはず。普通のミネラルウォーターよりずっと体にいい。ヨーロッパでの温泉文化は「飲む」文化。

 五頭焼や笹神焼などで、飲泉カップを作り旅館内ではなく表の店で販売したり、ペットボトルやポリタンクに「五頭温泉郷」と書いて販売すると喜ばれる。
温泉を無料で汲めるようにしながら、他のものを販売することで、露天風呂の維持管理費が簡単に稼げるはず。

 もっと頭を使って、他所を見て勉強すること。きちんとした分析をして、飲んだときの効果を調べてみるべき。温泉は「地球が沸かしてくれた特効薬」です。


自然湧出の価値

 村杉温泉も出湯温泉も最初の温泉は自然湧出していた。「自然湧出」と「自噴」はまったく意味が違う。自噴とは強制的に掘った穴から出てくるもので、自然湧出は文字通り自分の力で、ゆっくりと湧いてくるもの。「熟成された温泉」と呼べるもの。
 温泉はビールと同じで、泡が出て空気に触れた瞬間から劣化していく。白い温泉や赤い温泉は、地中では無色透明でも、地上に出て空気に触れたとたんに、色が変わり劣化が始まる。

 だから、自然湧出しているここの温泉は「生きている温泉」といえる。大きな温泉地には真似のできない特色のあることをどんどんやっていくことが大切。

@早く飲泉の許可を取ること。
A若い女性が来たがるようなものを作ること。
B風呂の浴槽はぬるいのと熱いのを用意すること。

 ぬるい温泉の利点は、ゆっくり入ることができ、湯気を吸い込みやすく、飲みやすいなど色々ある。

 出湯の「寺湯」もおそらくラヂウムが入っているはず。だから、ラヂウム温泉の入り方としては、「寺湯」のようにぬるいお湯にゆっくりリラックスした姿勢で長い時間入るのがベスト。
 村杉も昔は沸かしただけで、そのまま入っていたはず。循環はしていなかったはず。
保健所が指導している塩素は発がん性があることは知られているはず。現在の機械の仕組みを今後どう変えていけるかが大切。

 もしできる事なら、18軒の全旅館が温泉の循環をやめるのが理想的で、そんな温泉地はどこにも無いはず。大きな温泉地では絶対できないこと。

 ラヂウム温泉は医学的には、一番効能が高い温泉。この一番いいものを一番いい方法で使うこと。全国に色々なタイプの温泉があるが、本当の名湯とは、無色透明のさっぱりとしたお湯。シンプル・イズ・ベスト。ラヂウムを逃がさないことが大切。

見える温泉

 五頭温泉郷は、一番の正攻法で、行くことが大切。人がやすらぎを感じるのは、自然・情緒・お湯の組み合わせ。外見では「お湯」が見えない。湯気・湯けむりが見えないので、温泉らしくない。日本人は富士山と湯けむりが大好き。

 「お湯」が見えるようにするには、飲泉所を表の見えるところに作り、しかも若い女性が喜びそうなおしゃれなものにする。ここには、日本人の原風景を感じさせる「情緒」はたくさんある。ぜひ自分たちのすばらしい温泉地を見直してほしい。

 「五頭の一〇〇遺産」を決めるために自分の村を見つめなおす。子供や大人が発想の転換をして、色々考えてみる。


露天風呂

 村杉の露天風呂をなぜ薬師堂の隣に作るのかをきちんと説明できるようにする。
「温泉は源泉の湧いている場所に近いほうが効能が高く、お湯の守り神の薬師様に近いほうが、よりご利益がある。」

 いい露天風呂にするために、
@循環ではなく、追い炊き+さし湯に挑戦してみる。
A毎日お湯を抜く。浴槽を二つ作る。
B地元にある素材、石・材木を使うことが大切。
広島県には30度の温泉を沸かして露天風呂を運営しているところもあるのでがんばってください。

 

■聞き取り・文
安永俊 (角屋旅館)

ご本人の文章ではないので、公的な使用はしないで下さい。あくまでも私の理解した範囲の内容の記録です。


 


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