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白鳥の写真 瓢湖

 
 

平成24年元旦

新しい年の始まりにふさわしい素晴らしい初日の出を拝むことができました。

太陽の温かい光が射す頃になると、里山に暮らす白鳥たちは一日の活動を始めます。 新潟県内で白鳥が一番多く集まるのは有名な瓢湖ですが、その周囲の池や水田にも多くの白鳥たちが暮らしています。

今日、元日早々に訪れたのは、瓢湖から3キロの場所にある水田です。 ごく普通の水田で暮らす白鳥たちは、とてもフレンドリー。 すぐ目の前で、自然のままの姿を見ることができます。

 
 

 

 

 

鳥は顔に表情が無いので、何を思って朝日を見つめているのかわかりませんが、みんな揃って初日の出を拝んでいました。
この水田は、瓢湖よりも静かで、ほかの野鳥も全くいないので、本当に穏やかに見えます。

何千羽もの白鳥がいるいて賑やかな瓢湖が、大きな旅館に例えるなら、少しの白鳥が静かにのんびり過ごすこの水田は、まるで、わずか10室の昔のままの温泉宿 角屋旅館のように見えます。

ここにいる白鳥たちはとてもきれいで、楽しそうで幸せそうに見えます。
角屋旅館に滞在するお客様と同じですね。

 

野生動物はみんな警戒心が強く、カメラを持って近づいていくと、大概、横を向いて静かに離れていきます。
水のない水田で餌を啄んでいる白鳥も、どんなに静かに近づいて行っても、一斉に遠くの水田に移動していきます。

ある吹雪の日、雪原にいる白鳥たちを近くから撮影したくて、上から下まで真っ白い服を着て、極力白鳥たちから見えないように、風下から、屈みながら近寄って行ったことがあります。

吹雪だから、こちらから白鳥の数も数えられないくらいでしたが、まだ50メートルも離れている地点で、彼らは気が付き、一斉にトコトコ歩いて離れて行ってしまいました。 計画失敗です。

キツネやタヌキ、イタチ、ハクビシンなど、色々な野生動物が住んでいる地域なので、十分に警戒していないと襲われてしまいます。 もちろん人間も、警戒対象動物です。

【教訓 その1】

雪原の白鳥はどんなことをしても近づくことはできない。 近くで見るなら、水田の白鳥を探そう。

 

昨年の白鳥シーズンから、瓢湖の白鳥の数が減っています。一昨年は最高6100羽、去年は最高5600羽、今年は4600羽。

なぜでしょうか?

すぐに、地球温暖化の影響ではという人がいますが、実は、その一言ですべて片づけている今のメディアには知識不足による間違いが多いのです。

瓢湖の白鳥は少なくなっていても、周囲の小さな池や稲刈りが終わった後、春までの間、「冬水たんぼ」 と言って、水を張った状態にしている水田を見つけて、白鳥たちがそこで過ごすようになってきています。

新潟県内で白鳥が多く訪れている湖沼は、 「瓢湖」 「福島潟」 「佐潟」の三ヵ所です。
その中でも瓢湖の周辺には、小さな池や沼、有機栽培で冬の間水を張っている水田が多いのが特徴です。
「冬の間に水を張る」というのは、白鳥を呼ぶためではなく、土壌の有機物を増やし、健康な水田を微生物やミミズなどの力を借りて作り出そうという農法です。

稲を育てるためにいい環境は、白鳥たちにとっても、住みよい環境なのです。

冬の間、水を張っている水田には、白鳥たちが暮らしている間は、フンをしたり、水を掻き回したりすることで、土壌の栄養が増えていきます。 そのため、まだ一般的には知られていませんが、農家の間では、「白鳥が来る水田のコメはうまいぞ」と言われ始めています。

どうですか、食べてみたいですね。

【教訓 その2】

白鳥がたくさん暮らす水田のコメは旨いらしい。

 

この地域の人々は、実に半年間も白鳥とともに暮らしています。10月から3月までの5か月間、白鳥の姿を見ています。 この地域の小学生の子供たちに、「鳥の絵を描いてくれる?」 と頼むと、70パーセントの子供が白鳥の絵を描きました。 この地域には、色々な野鳥はいますが、都会のようにスズメやハトはいません。 カラスは時々見かけますが、身近な存在ではありません。

一年を通じて一番長い期間、もっとも多く見る鳥は、なんといっても 「白鳥」 なのです。

子供たちから一番愛されている白鳥は、新潟平野の稲刈りが終わった直後の10月中旬に飛来してきます。
稲刈りが終わった水田には、落穂や虫、などたくさんのおいしいものが溢れています。 新潟平野全体がおいしい餌場でもあるため、この地域にたくさんの白鳥が暮らすことができるのです。

 

もし、稲刈り前の水田に白鳥が舞い降りてきたら・・・・

 

それは、もう、大変なことです。 稲刈り直前の水田を荒らし、農家の人々には迷惑をかける存在になります。
白い妖精が、白い悪魔になってしまいます。 もしかすると、害鳥として駆除されてしまうことになるかもしれません。

自然界とはよくできたもので、白鳥たちは、稲刈りが終わって広々とした水田を目掛けて飛来してくるのです。
そして、地域の人々に愛され、大切にされています。

【教訓 その3】

白鳥の里に住む子供たちは、鳥と言えば「白鳥!」答える。

 

水田で夜を過ごした白鳥たちは、朝日が出てから順番に、一家族ずつ飛び立ちます。 初めて見ると、あちこちから突然飛び立つように見えますが、実は、それぞれの家族ごとに、親鳥が何度も何度も合図をして、飛び立つ準備をしています。

あの壊れたラッパのような鳴き声を響かせながら、親鳥が首をコクコクと上下に振ると、ほかの家族、子供たちも一緒になって首をコクコクと上下に動かします。 最初のうちは、この動作を15秒くらいでやめます。 これを何度か繰り返し、動きが大きくなり、声が大きくなって勢いが出て、親鳥が大きく羽ばたいたのを合図に家族が一斉に、羽ばたきながら水面を蹴って走り始めます。

その瞬間を捉えたのが上の写真です。

大きな黒い足で水飛沫を上げながら走る姿は、肉眼で見るよりも、高速シャッターでとらえた写真を見ると、より一層の躍動を感じることができます。

目の前を大きな鳥が駆け抜けていく様は、貴重な体験となるでしょう。

【教訓 その4】

白鳥は3羽から5羽の家族単位で飛び立っていく。

 

朝の光は、なぜ、これほど美しいのでしょうか。

同じ白鳥でも、昼よりも、夕方よりも、どんな時よりも、朝日に向かって飛ぶ姿が美しいものです。
冬は午前中に美しい光景が見える日が多いのです。

朝の光と昼の光、その違いは何だかお分かりでしょうか。

その違いは、光の角度です。

朝の光は、横からの光です。 昼の光は、上からの光です。
横からの光は、モノの凹凸を際立たせる影を作ります。
白鳥を見ると、横からの朝日を受けた白鳥は、柔らかい羽で包まれた体の凹凸が、生き物の質感を感じさせます。
この質感は、昼間に上から光が射すときにはなくなってしまうものです。

光と影のバランスは、モノを立体的に、美しく見せる重要な要素の一つです。
白鳥や雪景色の撮影を考えている方は、ぜひ、朝から午前中に野山へ出かけましょう。

【教訓 その4】

朝の光は、景色を美しくする。

 

白鳥たちは、他の四足野生動物から身を守るために、集団で生活しています。
その集団のなかから順番に一家族ごとに飛び立っていくため、まだ、その場所に残る白鳥の群れを避けながら、駆けて行きます。

「仲間のいない方角に飛んでいけばいいじゃないか」 と思いますが、体の大きい白鳥は、鴨などとは違い、すぐ上に飛び上がることはできません。20歩以上水面を蹴って助走しながら飛んでいきます。 しかも、風のある日は向かい風になる方角にしか飛べません。

向かい風は、大きな体にたくさんの浮力を与えてくれるため、助走距離が短くなるという利点がありますが、その反対に、風上以外の方角へは飛ぶことができないのです。

違う方向に飛んで行こうとすると、横風を受けることとなり失速して飛び立つことができないのです。
これから飛び立とうとする白鳥たちの風上にほかの白鳥たちがいることもよくあります。
それでも、白鳥たちは、上手に仲間をよけながら、まっすぐ風上に向かって走っていきます。 飛ぶ鳥は、上手に避けていますが、周りにいる白鳥も上手に屈んだり首を下げたりして、頭を蹴られないように避けています。

その避け方は、まるで後ろに目がついているように、見事に避けるものです。

【教訓 その4】

身体の大きい白鳥が飛ぶためには、20歩くらいの助走ができる場所が必要。

 

 

この里山は、まるで、昔話の 「鶴の恩返し」 の絵本のような景色です。

ここに住むことができる幸せに感謝し、この美しい環境が永遠に続きますように、心から願う元日の朝でした。

【教訓 その5】

美しい景色は、人間が壊さない限り永遠に続く。


 

 

 

 

 

 

 

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