【 ラドンとは 】
ラジウム温泉と総称されている温泉には、鉱物から放出される放射線による効能が期待できる温泉と、気体のラドンから放出される放射線による効果が期待される温泉の二種類に分類されます。
温泉の中に含まれる放射性成分には、ラドン(Rn:222Rn)、ラジウム(226Ra)、ラドンの放射性同位体トロン(Tn:220Rn)、アクチノン(An:219Rn)等が存在するが、日本の放射能温泉としては「ラドン」が主流です。
ラドンとは、半減期3.825日でα崩壊する放射性のガス成分(気体)です。
ラドンは自然界に存在する放射能を放出する物質の中では、もっとも強力なイオン化作用を持つと言われています。
【 ラドン温泉の効能 】
放射能泉を利用する際に、どのような仕組みでその効果が現れるのでしょうか。
近年の研究において、徐々に科学的解明がなされつつあるのは、放射性分解によって生体内に生じた少量の活性酸素が、解毒、細胞代謝、ミトコンドリア内でのエネルギー変換、酵素などのたんぱく質や生理活性物質の生合成などの種々の過程に刺激として作用した結果と考えられています。
温泉治療に利用されている放射能泉は、ラドンとその崩壊生成物により生じた活性酸素種が、身体の身体の細胞や組織に複雑な生化学的作用を及ぼし、各種器官の動きを活発にするといわれています。
その効果は、臨床医学的に自立神経の沈静、ホルモンや代謝異常の調整、鎮痛、消炎作用ということができる。α線には神経細胞の酸素消費量を下げて沈静化させる作用があるため、放射線浴はリウマチ、関節炎、筋肉痛、神経炎等の痛みを和らげる効果があります。
適当量のラドンが温泉に混入すると、強力なイオン化作用により人体の生理的代謝作用が促進され、老廃物の排出効果とともに、鎮静作用を持ちます。そのため、ラジウム温泉は自律神経の調整、消炎、抗アレルギーの効果があるとされています。
【 ラドン温泉の適応症 】
浴用の適応症 |
飲用の適応症 |
吸入療法の適応症 |
リウマチ性疾患
痛風および尿酸素質
動脈硬化症
高血圧症
慢性肝・胆道疾患
外傷後遺症
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痛風および尿酸素質
リウマチ性疾患
慢性消化器疾患
慢性肝・胆道疾患
糖尿病
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痛風および尿酸素質
リウマチ性疾患
慢性気管支炎
気管支喘息 |
*参考文献----------------------------------------------------------------
堀内公子;日本の温泉と放射線 日本放射線技術学会雑誌 など |