新潟県の雪は重い。日本海の湿気をたくさん含んだ雪だから、風に飛ばされることなく、樹木に積もれば枝を折り、家屋は雪の重さでつぶされないように、太い柱が必要になります。
20年前までは、村杉温泉でも大雪が降ると朝から晩まで除雪作業が続きました。屋根に上って雪を下ろし、玄関から外へ出られるように道を作ったものです。昔は二階まで雪が積もったため、冬の間の出入り口は二階の窓になったものでした。
今になって気が付くことですが、10年前から目に見えて雪が少なくなってきた気がします。それでも、雪があまり降らなければ、苦労が少なく暮らしやすいので有り難いことだと思っていました。 まさか、温暖化の影響が確実に進行しているとは思わずに・・・
農業と漁業を中心としてきた新潟にとって、長い冬とたくさんの雪にあわせた食文化が続いてきました。
雪どけとともに田植えの準備が始まり、水揚げされる魚の種類で春を感じ、山からの雪解け水が一年を通して豊かな作物を育んできました。
長い冬は、屋内でわらを打ち竹篭を作り静かに暮らしていたものです。
新潟の文化と伝統は、雪のない地方とは全く違うものです。半年にも及ぶ長い冬を生きるという忍耐強さと生活の知恵が必要でした。
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10年前から雪の減少が顕著になり、2007年の冬は史上最少の降雪となり、村杉温泉では除雪車の出番はなく、暖かい冬でした。
これほどまでに雪が少なくなって、私たちはやっと気が付くのです。地球の温暖化は他人事ではなかったのだと。
温暖化の影響として最初に気が付いたのは、北極の氷の減少でした。あの頃は、遠い世界の話で、私達に影響してくるのは何百年も先のことだと思っていました。
新潟の食文化といえば、 米・酒・魚 が有名です。
新潟の気温に合わせて作られたコシヒカリは、高温に弱く気温上昇は味覚の低下を招きます。
日本酒造りは、秋の酒米の収穫から冬の間の酒造りにかけて、雪の中で安定した低温で醸造できることが何よりも大切で、いわば酒蔵全体が天然の冷蔵庫となって雑菌の繁殖を防いで、透き通った味わいを作り出します。冬の気温が上昇すると醸造時の温度管理が難しくなるのです。
新潟の海は、まるで宝石箱のようで、日本海を流れる海流が佐渡にぶつかり、北から南から様々な魚を運んできます。
その新潟の海には、日本一長い河川・信濃川と、もう一つの大河・阿賀野川が、遠い雪山を源とする雪どけ水を大量に運んできます。
二つの大河には、豊富なプランクトンが含まれており、河口に集まる魚たちの良質なエサとなっているのです。
二つの大河の雪どけ水が減少すると魚を集めていたエサの減少を招きます。
いま、私たちにできることは何でしょうか。 |