夏山に登ると白雲が足もとから湧きあがってくる。
雲海を切り裂くように鋭いホトトギスの声が響く。
山麓村杉にふさわしい句。
この句碑は薬師堂への登り口、薬師の清水の脇に建立されているので、湯上りに冷たい清水で喉を潤した時に、ふっと目に入る場所に建てた当時の人々の粋な計らいが感じられる。
苔むした自然石の碑には岩泉翁の筆太で、流麗な書体の文字が刻まれている。昭和7年(1930)に、村杉俳友会が建立した。
当時村杉には岩泉宗匠を中心に、俳句会が盛んに開かれていた。
岩泉翁は昭和八年四月八十歳で永眠された。 |