自然湧出の価値
村杉温泉も出湯温泉も最初の温泉は自然湧出していた。「自然湧出」と「自噴」はまったく意味が違う。自噴とは強制的に掘った穴から出てくるもので、自然湧出は文字通り自分の力で、ゆっくりと湧いてくるもの。「熟成された温泉」と呼べるもの。
温泉はビールと同じで、泡が出て空気に触れた瞬間から劣化していく。白い温泉や赤い温泉は、地中では無色透明でも、地上に出て空気に触れたとたんに、色が変わり劣化が始まる。
だから、自然湧出しているここの温泉は「生きている温泉」といえる。大きな温泉地には真似のできない特色のあることをどんどんやっていくことが大切。
@早く飲泉の許可を取ること。
A若い女性が来たがるようなものを作ること。
B風呂の浴槽はぬるいのと熱いのを用意すること。
ぬるい温泉の利点は、ゆっくり入ることができ、湯気を吸い込みやすく、飲みやすいなど色々ある。
出湯の「寺湯」もおそらくラヂウムが入っているはず。だから、ラヂウム温泉の入り方としては、「寺湯」のようにぬるいお湯にゆっくりリラックスした姿勢で長い時間入るのがベスト。
村杉も昔は沸かしただけで、そのまま入っていたはず。循環はしていなかったはず。
保健所が指導している塩素は発がん性があることは知られているはず。現在の機械の仕組みを今後どう変えていけるかが大切。
もしできる事なら、18軒の全旅館が温泉の循環をやめるのが理想的で、そんな温泉地はどこにも無いはず。大きな温泉地では絶対できないこと。
ラヂウム温泉は医学的には、一番効能が高い温泉。この一番いいものを一番いい方法で使うこと。全国に色々なタイプの温泉があるが、本当の名湯とは、無色透明のさっぱりとしたお湯。シンプル・イズ・ベスト。ラヂウムを逃がさないことが大切。
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見える温泉
五頭温泉郷は、一番の正攻法で、行くことが大切。人がやすらぎを感じるのは、自然・情緒・お湯の組み合わせ。外見では「お湯」が見えない。湯気・湯けむりが見えないので、温泉らしくない。日本人は富士山と湯けむりが大好き。
「お湯」が見えるようにするには、飲泉所を表の見えるところに作り、しかも若い女性が喜びそうなおしゃれなものにする。ここには、日本人の原風景を感じさせる「情緒」はたくさんある。ぜひ自分たちのすばらしい温泉地を見直してほしい。
「五頭の一〇〇遺産」を決めるために自分の村を見つめなおす。子供や大人が発想の転換をして、色々考えてみる。
露天風呂
村杉の露天風呂をなぜ薬師堂の隣に作るのかをきちんと説明できるようにする。
「温泉は源泉の湧いている場所に近いほうが効能が高く、お湯の守り神の薬師様に近いほうが、よりご利益がある。」
いい露天風呂にするために、
@循環ではなく、追い炊き+さし湯に挑戦してみる。
A毎日お湯を抜く。浴槽を二つ作る。
B地元にある素材、石・材木を使うことが大切。
広島県には30度の温泉を沸かして露天風呂を運営しているところもあるのでがんばってください。
■聞き取り・文
安永俊 (角屋旅館)
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